この味にこだわりアリ!!おいしいを発見vol.2 この味にこだわりアリ!!おいしいを発見vol.2 ほんのり色づくピンク色の「真鯛」。鯛本来の旨みや美味しさを、尾鷲からおとどけし鯛。めでたいふたりのめでたい焼をお届け! 鯛専門店めでたい屋 三和水産株式会社(三重県)小川康成さん・栄美さん

熊野の自然に抱かれて。鯛を知り尽くした夫婦がつくる、真鯛の姿焼きと鯛のごはん。

熊野古道に続く熊野灘の小さな漁村、三木浦町。

遠洋漁業で栄えたこの街は山々が湾を取り囲み、湾内は穏やかで台風の影響を受けにくく、養殖業に適した漁村です。

斜面に並ぶ家々ほとんどが漁業関係者というこの漁師町で、めでたい屋の真鯛たちは大切に育てられています。

この街の恵比寿様のように、よく喋りよく働き、よく笑う小川夫妻。まさにめでたいこのご夫婦に、めでたい焼の特徴をうかがいました。

めでたい焼の真鯛は、お肌も命娘のように大切に

天然の方が何でも良いと思っていませんか?

鯛は本来、暖かい夏場の方がよく動き、よく食べる魚。実は天然鯛、栄養が行き渡って脂が乗るおいしい時期が限られてしまうとも言われています。 春に出産で栄養分を出し切った天然鯛は、いざ夏という食べ盛りの時期、脂のあるエサが海に存在せず、なかなか食糧にありつけないことも。そのため天然鯛は栄養不足になりがちで、時季によっては身がスカスカになってしまう場合もあるといいます。

かたや養殖鯛は、エサが安定しているために身質もよく、健康的に育ち、年中安定したおいしさを提供できるのが売り。


特にめでたい焼の真鯛は、魚一匹一匹のストレスを考えて生簀内の魚の密度を厳密に定めたJAS規格に準拠し、契約業者に大切に育てられている箱入り娘(大きい生け簀だと黒っぽい鯛になることが多いそう)。さらに女は肌が命と言わんばかりに「日焼け対策」も完璧です。鯛のお肌を守るために生け簀の全面はシートで覆われ、紫外線対策はバッチリ。台風が来るとなると、その前にシートをはがして生け簀を沈め、台風が去ったら引き上げて貼り直すのは、波のストレスで鯛の色が悪くなるのを防ぐためだとか。鯛の桃色の肌はとてもデリケートで、本当の意味で手間暇かけて大切に育てられているんですね。

海山自然、みんなのおかげ町がはぐくむ、めでたい焼

「大切に育てていますが過保護ではないんですよ。三木浦は一見穏やかなんですが、黒潮の流れが入ってくるため、実は水深が4、50メートルあり、下の方は流れが速い。よその穏やかな湾の鯛とは三木浦の養殖鯛は味そのものが違いますね。激しい海流で育っているので身が締まり、食感も良く、美味しいのはこの環境も手伝っています(康成さん)。」


リアス式で海山の栄養分も豊富に流れ込む湾内ですが、人口が少ない=生活排水も少ないため、赤潮の発生がないのも湾の特徴のひとつ。さらに町民の皆さんは洗剤にも気を使うという漁師町ならではの徹底ぶり。そして、地域に大きな川がないことも、鯛がのびのびと育つ要因でもあるそうで、大雨や台風の影響で、土砂や泥水で鯛が酸欠を起こすことがないからなのだとか。

地形的要因や生活環境、土地柄、業者さんの弛まぬ努力と思いが、元気な養殖鯛を育てているんですね。


中でもめでたい焼で選定される鯛は、JAS規格の尾鷲の鯛の中でも、色が薄ピンクでお腹が白く、尻尾が鋭角のもの(鯛同志のぶつかりが少なく、ストレス無く育った証)を選ぶそうですが、生きている時の色と活け〆した時の色が微妙に異なることがあり、色の見分けは至難の業。仕込み前には一気に仕入れをするのではなく、仕込みをするごとに必ず先に、50枚ずつ色や味を見極める試し焼きをするそうです。「幼馴染が養殖をやっていて(笑)。そこから仕入れているので無理が効くんです(栄美さん)。」

このように、色のバラつきを避け、ロットを見極めるための大事な試作が毎回あるからこそ、皆様には美しい色のめでたい焼きが安定して届けられているんですね。

養殖業から食品加工業に転身めでたい焼きができるまで

栄美さんの祖父の代は養殖専門でしたが、先代が東京から帰って来た当時の日本が食糧不足だったことやキロ2,500円くらいの最高取引額高値での取引も手伝い、この小さな三木浦にも最盛期で40軒の養殖業者がいたそうです(10年前すでに養殖業者は今の10軒に)。しかし先代が「飽和状態の養殖業で鮮魚だけを売り、市場を食い合うのでは将来が見えない」と40年前に付加価値のある食品加工を始めたのが、めでたい焼の長い開発の幕開けでした。


「うちの鯛は形はさることながら、他の鯛よりも色が断然美しい(実はエビの殻をエサに混ぜて与えていた)。この鯛で美味しい焼き鯛ができないものか(先代)?」。その一心、強い思いで加工を始めた二代目でしたが、1次加工の三枚おろしを東京や大阪の市場に出すことはあっても、鯛の加工自体を出荷するのは未経験。 予備知識はエビの加工経験だけという状態から始めたそうです。


形をきれいに残した状態でお客様に焼き鯛を楽しんでもらいたいと考えていた時、紹介されて食べた愛媛の浜焼きは身が硬かったそうで、「ウチは柔らかくて身がふっくらしたものが良い」と今のコンセプトが決まったといいます。しかし生の状態で焼く鯛は、背中が割れたり、見た目が悪くなったり、ウロコが立ったり、エラが開いてしまったり、皮が縮んだり等々、失敗の連続でした。開発に要した鯛は1000匹。半ば諦めかけていたそうですが、苦労して先代は魚体に合わせた下処理と温度や湿度を調節した焼き加減(ここは企業秘密)にたどり着き、今のめでたい焼が完成しました。

「1000匹無駄にできたのはウチが養殖業をやっていたからですね。でなければ怖くてできません(爆笑)!(康成さん・栄美さん)。」

このめでたい焼ができて、小川さんご夫婦も津から帰って後を引き継ぐ決心ができたそうです。

めでたい焼は先代亡き後も、その教えや製法、味は三代目にしっかりと受け継がれています。小川家の歴史とロマンが詰まっためでたい焼なんですね。

手作業が可能にするめでたい焼ウロコがふっくら感を生み出します

めでたい焼は、縁起物。鯛はおめでたい席には必ずと言ってもいいほど登場する海の王様ですが、身に切り目を入れたりはご法度です。新鮮な状態で活け〆→エラを取る→特注のバキューム機で内臓を取り出す→ていねいに洗う→塩をする→うまみを出すための企業秘密の下処理→ワカメを詰める→焼く、と、この作業のほとんどが手作業なのです。

中でも、生の状態でエラからワカメを詰める工程はとても神経を使うそうで、ワカメを詰めすぎると、破裂しそうなくらい膨らんだ金魚のようになってしまい、少なすぎると真空パックにした時にお腹がへこんだ悲しい姿になってしまうそうです。「人のさじ加減でしか調整ができないところなんですよ。そこは熟練した加工のおかみさん達に信頼して任せています(康成さん・栄美さん)。」味にも見た目にも影響する大切な過程には人の手がやはり必要なんですね。ちなみに、ワカメは焼いても溶けない肉厚のもの、焼き上がった時の食感が良いものを探し求め、現在は三陸や答志島のワカメを使っているんだそうです。


そして一番気を遣うのは、焼き上がった一番もろい状態の鯛をせいろから並べるところ 。ひとつずつ人の手でしか行うことができないというデリケートな作業で、ちょっとでもミスをすると尻尾が折れたり、首がもげてしまって商品にならなくなってしまうというのだから、最も神経を使う工程と言えるでしょう。


さらにウロコを残して焼き上げる独自製法は、めでたい焼の肝。ウロコのおかげで、美しい色合いのめでたい焼が焼き上がり、旨みが詰まったしっとりとした仕上がり、冷めてもやわらかい味わいが実現しているのです。「ウロコを引かないのにはもうひとつ利点があり、 焼きあがった後も皮がめくれやすくなるんです。 皮はそれだけでも楽しめますが、出汁にしてもいいです。オススメは オリーブオイルでパリッと揚げて塩でおつまみ。ありがたいことにウチはお客様から”美味しかったレシピ”をお便りでいただくこともあるんですよ。あ、あと他にもね‥(あれやこれ屋のアイデアを惜しみなく語るご夫婦の話は続く)。」

三木浦で育った母の味をご家庭に

最高の品質でめでたい焼と焼いた鯛でも、焼き上がりの時点で尻尾が折れてしまったり、赤みが出なかったり、見た目でハネなくてはいけないことがありました。味は一流なのに‥ それをを何とかできないかと開発したのが鯛めしだったそうです。当時作った鯛めしは、鯛を丸ごと釜で炊いて皮や骨を取って身をほぐしたもので、鯛の味が余すところなく入っていたそうで、小さな鯛と鯛めしのもとをセットにして販売したが、あまり売れなかったといいます。当時は家庭では手間がかかりすぎる構成だったので、 作り続けることができるのか?と周りから助言され、鯛めしの素を開発して販売することにしたそうです。

味の肝となる「鯛だし」は、鯛のアラを焼いて昆布と一緒に一晩水出ししたものを漉したものがベースで、これは三木浦漁師の秘伝だし。アラと昆布を除いて漉した後、そこにうまみとコクを出すためにさばといりこで追い出しをとり完成。鯛の風味を最大限に引き出すのがさばといりこだったのだとか(かつおでは風味が台無し)。

「この鯛めしの素でできる味は、母の味。それを守っているんですよ (栄美さん)。」


三木浦では、鯖でも鯛でも生、生で旬魚を炊くのが漁師飯だそうですが、めでたい屋の鯛めしは、鯛を一度170度で蒸気を含ませながら低温で焼き上げています。それを付属の鯛だしで炊き込むだけで美味しい鯛めしが出来上がるように作られているため、特別なことは何も必要ありません。 この一度焼きのおかげで旨みが凝縮され、ドリップなど味のばらつきや雑味を生むマイナス要素がなくなり、冷めても生臭くなく、やわらかい鯛めしが簡単に出来上がるというわけです。

化学調味料不使用なので、安心安全。本格的な味わいを手軽に美味しくいただけるのはありがたいですね。

ハレの日も日常も。”人生の節目には鯛がある”から、”人生の節目にも鯛がある”へ ハレの日も日常も。”人生の節目には鯛がある”から、”人生の節目にも鯛がある”へ

自分たちが食べて美味しいと思うものを作り続けてきたというご夫婦。

今回ご紹介の商品の他にも、お刺身の燻製や塩麹みそ漬け、鯛しゃぶや鯛まんじゅう、鯛だしつゆや鯛だしぽん酢、鯛みそ‥列挙にいとまがないくらいで、横恋慕しそうなほどのラインナップがあります。「日常に鯛の美味しさを!鯛の美味しさを余すところなく伝えたい!」という純粋な思いが伝わってきますね。実はこの冬に出そうと思っていた新商品もあるそうですが、まだ先になりそうとのこと。 めでたい焼きのパイ包み焼的な洋風商品(厳密にはパイ包みではなく調理として小麦粉を使うようなもの)で、季節のものを添えるような新しいものということです。


「ここ最近、お食い初めで選んでいただくことが多いめでたい焼ですが、ご注文の際にお伝えいただければ、歯固めの石をプレゼントいたします。冷凍パックですぐにお使いいただけますし、尾鷲ヒノキの葉もお飾りとしてお使いくださいね(康成さん・栄美さん)。」

踊り串をつけて出荷されているものは身崩れ防止で硬く仕上げたものが多い中、ふっくらとやわらかく、冷めても美味しさが詰まっているのがめでたい焼きの特徴ですが、「鯛のおいしさを知っていただく前に、そういったお食い初めの飾りとしての鯛のイメージがいまだに強いのが悲しいです。本来の鯛のおいしさをお伝えすべく、この味を守っていますので、ぜひ一度うちのを召し上がっていただければ!」と、自信と誇りの言葉が最後に飛び出してきました。

元養殖業の誇りと食品加工専門業としての責任がそう言わしめるのでしょう。


めでたい焼は、そのまま温めても、ホットプレートでも楽しめ、鍋でもいける商品。

みなさまに鯛のおいしさを伝えたいご夫婦渾身の商品です。

質問に対し、即時にハッキリと明確に答える誠実さ、強い思いを二人から感じました。